基本理念
いつでも、どこでも、だれにでも、信頼される看護を、
心をこめて提供します。
基本方針
1. 看護者として高い倫理観を持ち、安全で満足できる看護を実践します。
2. 地域住民が安心して療養生活を送れるように、医療チームの一員として、
他部門や地域と連携を図ります。
3. 専門職としての責任と誇りを持ち、時代の流れに沿って変革できるよう
主体的に自己研鑽に努めます。
4. 相手を思いやり、笑顔で働き続けられる職場環境づくりに努めます。
5. 効率的、効果的な看護の提供に努め、健全経営に参画します。
看護事務室
看護事務室では看護師一人ひとりが、病院の理念に基づき地域住民に信頼されるあたたかく質の高い看護を提供できるように働きやすい環境作りに取り組んでいます。
病気や突発的な休み等の状況に応じて応援体制を整え、助け合うための仕組みを作り、各看護単位を支援しています。
また、専門性の高い看護を実践できる看護師を育成し、キャリア発達を支援するために各種研修へ派遣しています。
看護体制
1. 看護単位 (7看護単位)
病棟 | 一般病棟 4単位 272床 | |
外来 | 手術室 透析室 外来診療部門 |
2. 夜勤体制
病棟部門:3交替制(一部2交替)
救急外来:2交替制
3. 看護提供方式
PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)
教育・研修
教育理念
【病院・看護科の理念に基づき、専門職業人として患者・家族を尊重した看護の提供ができる看護師を育成する】
スタッフ一人ひとりが、専門職業人として必要な看護実践能力を維持し、向上できるように人材育成に取り組んでいます。教育専従看護師を配置し、新人教育において一職業人として共に働けるよう、スタッフ全員で支援できる体制を整えています。レベル研修や e-ラーニング研修、院外研修等でキャリアを重ね、個人の目標とする看護師を目指せるようにキャリア開発を行っています。
教育体系
概念図
各部署の紹介
3病棟
小児科・産婦人科・緩和ケア病床の混合病棟です。小児科は、お子さんだけでなく、ご両親ご家族のみなさんを含め、安心できる看護の提供に努めています。産婦人科は、院内助産システムを中心に、産婦人科医師・産婦人科外来と連携し、助産外来、母親学級、正常分娩のための援助、母乳育児支援、産後2週間健診などを助産師が中心となって行っています。地域連携も活発で、妊娠期から産後まで切れ目のない支援を目指しています。また、緩和ケア病床では様々な痛みに寄り添いながら穏やかな時間が過ごせるように、患者さん、ご家族の声を大切に看護に生かしています。
4病棟
外科・消化器内科の混合病棟で「安心で安全な療養環境を提供し、患者さんの生活を考えた退院支援を行います」をモットーに毎日取り組んでいます。
消化器系の外科手術、内視鏡検査、がん化学療法などを目的に多くの患者さんが入院してきます。業務内容も多岐に渡りますが、スタッフ同士で声を掛け合い、協力しながら、安全な看護ケアを提供しています。病棟の雰囲気は明るく笑顔あふれる職場です。
5病棟
内科、泌尿器科の混合病棟です。内科は、心筋梗塞・狭心症、大動脈解離・洞不全症候群・心不全などの循環器疾患や間質性肺炎・細菌性肺炎などの呼吸器疾患の患者が多く入院されています。泌尿器科は、前立腺・腎臓・膀胱疾患の検査や手術、慢性腎不全に対する腹膜透析や血液透析導入への処置・治療が行われています。受け持ち看護師の関わりを強化し、患者中心のチーム医療、地域連携を目指しています。
6病棟
整形外科・脳神経外科の混合病棟で、重症急性期の治療から、社会復帰を進めるためのリハビリテーション期と幅広い療養期の医療を提供しております。また、地域連携パスを活用した地域連携に力を注いでいます。医師・看護師・MSW・退院調整看護師・栄養科・薬剤科・リハビリテーション部門等がチームを組み、より良い医療が提供できるように、多職種でカンファレンス行なっています。高齢の患者さんが多く、安心安全に入院生活が送れるように、環境整備や清潔に心がけています。患者さんやご家族との関わりを大切にして、満足いただけるように努力しています。
外来
外来は、16診療科・化学療法室・放射線治療室・救急外来・中央処置室で構成され、認定看護師によるストーマ外来や外来化学療法、放射線療法、助産師による助産外来等の専門性の高い看護の提供を行っています。1日平均外来患者数は約430名、救急搬送患者数約5名、夜間受診患者数約11名で、釜石・大槌地区の2次救急医療機関としての役割を担っています。院内の多職種と連携して、質の高い医療・看護の提供と、地域連携に力を入れています。
手術室
手術は大きなライフイベントであり、患者さんの多くは手術の経験がなく、未知の不安の中で様々な思いを抱えています。手術室看護師は不安を少しでも和らげ、安心して手術が受けられるように事前に手術前オリエンテーションを行います。患者さんを訪問し、お話を伺い、手術前の気持ちを整えるケアに心がけています。また、患者さんの情報は麻酔科医師、主治医、臨床工学技士、病棟看護師と共有し、安全でスムーズな手術に努めています。
人工透析室
当院は人工透析機器15台で稼動しております。受け入れ患者さんは釜石圏域(釜石・大槌地域)の患者さんです。維持透析のみではなく導入透析や緊急透析の受け入れも行っています。血液透析は月曜日から土曜日の日中、午前・午後の2クールで実施しており、患者さんの多様なニーズにお応えしております。スタッフは医師、看護師、臨床工学技士、看護補助者からなり、人間性を尊重し、心のこもった安全で安心できる透析治療環境の提供を目標に掲げ、日々の業務を行っています。
ふれあい看護体験・サマーセミナー他
ふれあい看護体験
「ふれあい看護体験」は、中学生や高校生の皆さんに「看護職」を知ってもらうため、病院や福祉施設において、看護業務の見学や患者さんの移動介助や手足を洗うなど簡単な看護体験を行ったり、患者さんや看護師と交流を行うイベントです。「看護の日」「看護週間」の一環として全国的に開催され、当院でも開催しています。参加した高校生からは、「看護という職業に、今まで以上に興味を持った」という感想が寄せられています。
※申し込みは、岩手県看護協会ホームページをご覧ください。
サマーセミナー
看護学生が、看護職への就業意欲を高め看護の学びを深めてもらうため、病院サマーセミナー(看護学生1日看護体験研修)を開催しています。毎年、夏休み期間を利用して多数の参加があり、「患者さんからのありがとうという言葉で、やりがいのある仕事であると実感した。」と言う感想が聞かれています。ぜひ、当院の病院見学や看護体験研修を行うサマーセミナーにご参加ください。
※申し込みは、岩手県ホームページ(トップページ>くらし・環境>医療>医療制度・政策>看護師確保対策)をご覧ください。
インターンシップ
随時、インターンシップを受け入れています。看護学生であればどなたでも参加できます。
※申し込みは、岩手県立病院オフィシャルサイトをご覧ください。
職場体験
随時、職場体験を受け入れています。看護師や看護補助者として働きたい方、看護師を目指す学生などの申し込みをお待ちしています。
※申し込みは、岩手県立釜石病院 総務課です。
ありがとう看護エピソード
平成27年度、岩手県医療局で募集した「ありがとう看護」エピソードに応募し、賞を受賞した感動の作品です。 私たちは、このような患者さんとの出会いやエピソードに支えられています。
あなたに支えられて
「四十路息子よ 恥じらいもせず 母の手へ 寄せる唇 月ぞ見ゆける」
Aさんの作った短歌です。Aさん、私たちはあなたが望む最期を叶えてあげることができたでしょうか。
「初めて会った気がしないのはなぜでしょうね?」
あなたは初対面の私にそう言いました。色々な話をしましたね。あなたの強さや優しさに惹かれて、あなたの病室を何度も訪ねました。がんの告知を受け治療に希望を持ちながらも、病状の進行を体で感じ命の期限が迫っていることを分かっていたのでしょう。「生きていて欲しい。できる治療が無いわけないだろう。」と息子さんは治療や延命を希望し、あなたの死を受け入れることができずに、時に私たちに怒りをぶつけ苦しんでいました。
あなたは「息子がごめんね。怖い思いをさせているね。私が死ぬことを受け入れて欲しい。」と強いまなざしで私に言いました。
痛みや苦しさの緩和、あなたやご家族の気持ちに寄り添えるように取り組んで来ました。 受け入れができない息子さんに対して、どう関わったらよいか悩みました。「あきらめたくない。死ぬのを黙って見ていろって言うのか? お前らは医療者だからそうだろうが。」息子言葉に苦しみました。それでもあなたの望みを叶えたくて息子さんと話をしました。
病状が進行し薄れ行く意識の中で、あなたはお子さんたちに囲まれて手を握り、頬を寄せて話をしていましたね。「先生はね、優しい人よ。看護師さんたちも良くやってくれているの。ここに来て良かった。」
くじけそうになった時、あなたの言葉に背中を押してもらっていました。「静かに看取ることにします。」と息子さんが言ったのは、あなたが亡くなる数時間前でした。
あなたは、息子さんたちが見守る中、静かに息を引き取りました。あなたの望みを叶えるために・・・と思いながら取り組みましたが、私たちの方があなたに支えられていたのですね。
最初と最後のありがとう
「ありがとう」
彼の口はこう動いた。そしてその言葉は、私と彼が出会ったときの8年前も同じ言葉だったと思う。
私が彼に初めて会ったのは当病院の1年目の登竜門、他部署研修だった。当時外科病棟で働いていた私は、初めて循環器内科病棟という未知の世界へ、研修ではあったが足を踏み入れた。そこで私は彼に出会った。
彼は難病で、自身で動くことも呼吸もできないため気管切開され、人工呼吸器が装着されていた。外科病棟で何度か人工呼吸器は見たことがあったが、その扱いはまだまだひよっこ。痰を採る手も震えていたに違いない。そんな私が彼の吸痰を行った。手が震え、痰も採れたか分からない私に、彼は「ありがとう」と屈託のない笑顔でそう口を動かしてくれた。それから3年後、東日本大震災で彼は内陸の病院へ転院されていった。
月日が経ち平成26年の10月、私は7年間を過ごした外科病棟から、循環器内科病棟へ異動になった。そこで待っていたのは彼だった。私も彼も、東日本大震災という未曾有の災害を乗り越え7年越しに同じ場所で再会することができた。
7年経った私を覚えていてくれたかは定かではないが、1年目の私を知る数少ない彼であったので、自然とケアにも力が入っていたのではないかと思う。彼に成長した姿を見せることが私は嬉しかった。そして彼もそんな私の気持ちに気づいてか、多くの場面で私を頼りにしてくれていた。
出会って8年目の暑い夏の夜、彼は短い一生を終えた。私が最後に彼に接したのは一生を終える前の晩の吸痰のときだった。1年目のときとは違い、手も震えず吸痰を終えると彼は「ありがとう」と、8年前と変わらない笑顔で口を動かしてくれた。始まりと終わりが「ありがとう」の患者さんは彼が最初で最後だと思う。
もっともっとありがとうの似合う看護師になります。その屈託のない笑顔で見守っていてください。